佐々木漣 ブログ 漣の残響

闇の中に詩を投げろ

メフィストフェレスの自殺

老婆を叩き潰したその内省は解脱した

 

見開いた、

壊れた瞳孔で見たのだろう

彼だけの真実を

彼だけの前を通り過ぎた

せむしの様なメフィストフェレスの姿を

 

現代でも惨劇は、

慈悲や救済という名に匿われ

壊れた人の上を白昼堂々歩いている

善人が悪人になるのはもはや自明の理で

修辞がこんなにも無味乾燥している

 

今、メフィストフェレスは待っている

街路樹の古い切り株のようにじっと

何を?

清く輝くこと、ではない

箝口令のしかれた暗闇、でもない

どこかを彷徨っている混沌を

彼はそこでしか安息を得ることができない

疲れたと言っても有給休暇はなく、

次から次へと

どこの馬の骨だかわからない人間の後を、

ついて回らなければならない

もう、疲れた

一人では身が持たないこの頃の、

分かち合えない事件事故に

こんな魂のないご時世に

 

パンドラの箱を開けたのはどこのどいつだ

同情をかいたかったこの俺か

後悔は先に立たないから沈んでいく

「生きにくい社会」と誰よりも叫びたい

打算が空を飛んでいる

彼らがはじけ、黒い雨はきっと降るだろう

奇形が隔離される列島

奇声をあげ続ける理想郷の赤、青、黄色

 

望んだ混沌が訪れた

その中で融解する「」

盗んだ希望も一緒に