佐々木漣 ブログ 漣の残響

闇の中に詩を投げろ

今、この時に生きていることについて感じなければ、貴方は生きていけるのか?

現代史には仇が常に必要で

その歴史的真実は翻訳ソフトを使用しても伝わらない

斬殺する側にも出血する無言が存在し

逆流するヘモグロビンが今でも

朝刊から溢れた情報をせっせと運んでいる

もう止血剤の効かない心たちが、何人もの人を殺める

安息日の祈りはすべて戦慄に塗り替えられ

「時代だと」わからないことがわからないまま

高速化していく駄言が促す、脳細胞の破壊

姿見の中へ向かう救急車に搬送され

いくつものプラスチックの手で、時に助けられ

時に諦められる、感情を排し無気力になっていく命の現場

そこにいるのは誰なのか? 答えられる者はいない

どのような青写真も立てられなくなってしまった

生々しい、何センチにもわたる傷の写真が

ばらばらと、散らばっているばかりだ

もう血と油が等価であることを許すべきではない

 

死海に浸された人工の楽園で

幸福と不幸が結婚をしたら、「感じる者」が産まれた

既に開花した白い薔薇をその手に

各々の地上を丁寧に配布したつもりだった

裁きの場は人の上にも下にも座していない

ただ、私たちから意図的に逃げているだけなのか?

快楽にうぬぼれた大量殺戮の事実は次々と焼き払われ

針の汚れた注射器で作り出したサイコパスが投じられ

生を謳うか、喪に服すか

壊れた色のまま当選しようとする

名もなき復讐という名を冠した選民のざわざわ

 

仇こそ生かさねばならない。生きねばならない

殺し続ける理由を、心に、

生きる種火として燃やし続けるため

愛よりも憎悪がつき走りながら「無敵」になっていく動悸

日常の指針は死に悶え、温度はどの法学を支持するのか?

不安がこんなにも飛び火しているというのに

誰一人気付かない劣等感の充満する空気の中で

窒息は、やむを得ない事実となる

白色矮星のような双眸。貴様は何を見たかった?

 

「感じる者」が、冷たい水の中から一人這い出てきて

心というものを初めて痛めている

生きるすべての者を疑ってしまうことを

深く青すぎる空によって救いすぎてしまうことを

自らの矛盾によって、自らのユダを裏切ってしまうことを

 

今、この時に生きていることについて感じなければ、貴方は生きていけるのか?