総動員
不要な葦たちの錆びきった拘束具が外される
暴動化する情緒の鳴動には気にも留めず
砲弾をきっちりと死亡診断書の無人機となるため義勇の中に誤魔化し規則的に提出ばかりを求められる猿轡の心の臓はとどめを刺されても気付かず動き続けている
余りにも美しかったこの土地の地政学的な恋愛模様のみが 見えない境の赤い線を引き何人の許可も得ず別離が成立していく
相続は血に流れる独立心の沙汰と確認行為を日頃から怠らずよくよく流れる川の河口で彼らは障壁障害を乗り越えた
寒冷な夜をやさしくはない伴とした狼の遠吠えに戦々恐々とする叫び聲を正しく顰める
じっとじっとじっとじっと眠る艶肌を伝うことで持ち切りの刃物の先に映る毒素兵の瞳はもうキラキラしていない
熟慮公案を反転させる大きな樹木はその葉を繋然と掌に根毛せしめ僥倖とのべられる幹の下にも含羞はない
祭を描く集団自決訴訟のように自意識が果てるまで行う絶頂点の火縄銃で亡き者になるまで縛る痛感を一度きり
体外まで貫くような生臭い倫理観に及ばされる想像力がない と嘆け
いつの時代も始祖蝶として変態しようがない若人の危機感と巨大で決して見えはしない影と翳の存在とを人類の微幕から抹殺する言葉なき神憑りとしながら
多産であることが美徳なる公民度に再び別の循環をもたらし泪を波に波濤に呑み込ませる諦めを告げる砲煙弾雨にまで至れ
もはや掌は米つき飛蝗の押収の餌食となり茂る肢を大きく広げられたこの村の存亡であることに対し気付かないふりをする見事な俳優劇は如何で
未確認の不干渉な櫓から火矢が止まりようのない放物線となり轟音は咲く
誰彼構わず蛋白質のスープこそがごちそうになっていく自由とはいつだって誰かの傲慢が創る傀儡によって敷かれた操作の行末である
切実に読むことができる出血で記した新しい表現がそこここに遺骸として葬られもせず猜疑心を潤す
「子」が乏しき閾値のまさに「太陽」となりその船灯をかざしながら地平線が臨界した暗闇を航行する
天照す海を支配するここからの風の出自よ或る日没がこの山に架かる瞬間にこそ明日が万人に降りそそぐのだ
顕在は呻きつつ天にましますこのもっとも輝く祝日に黒い怒涛の翌日に雨土塊を破らず敗北を初めて受け入れ説諭そのものが放免された
だからこそ狭き門は陥落しあゆなす壌土を虹彩に遷すことができる
私は手を差し出すぞ、さあ