佐々木漣 ブログ 漣の残響

闇の中に詩を投げろ

孫をみつける

新大久保の路上を昼間から指を絡ませ歩いている

初夏の気持ち良い空に抜ける鳥の捩れる舌は

曹達割りの檸檬が半月となる薄汚い居酒屋の陰影で

細かに震えている中身は未だ少女のままかもしれない

娼婦はわざとらしく朱にまみれ覗く前歯の沁みで淫行へ導く

 

体を売ればもう商品目へ分類されるのであり

体を買えば旅行用鞄に自分を入れた密輸業者と成る

暖色多湿の内腑に吞み込まれ昇降機の中で耳を舐め合う番

硬い陰毛より堅い男根を直に握らせる盛り

紳士面の心理に心裏を隠せない場所で

増強剤のような噴霧器の音を耳で甘受し

皺を伸ばしながら何台か盗撮用機器を正確に設置する

寝台横に置いた避妊具の下に

細い糸のように加工した十字の針が

避妊具に穴をあけて娼婦を孕ませる

とても、エレクトするのだ

信仰の精子がうようよと対岸の一点へと泳ぎきる

 

この世界の最善の好意は人間を根本から壊すことであり

どのような主義の本質も決まってここで息を吐く

体汁は納得から没頭へ麻痺させる薬液で

愛情ではなく行為の果てに飲む海水にむせる

果実になりきれない濫觴

八十一年ものの男根は、日に三度決まった時間に口笛を吹く

素手で剥いた鰐梨に卵白だけを加え攪拌し氷にする

それで漂白した葡萄の混合酒を飲み干すともうただの動物

それはもうただの骨髄反射へ陥る

嬌声が無眼で鳴ると人の間仕切りが地獄として煮えたぎり

破片からあの遠き大陸の夢を接着させていく快癒と成る

年齢が亡くなる万能感の他私的な幕が開ける失楽の狭間で

ふぁっくをファックでFUCKする集合たち

ふぁっくをファックでFUCKされる異母たち

 

黒白の部屋で人形と成った七十七歳の老婆を満足させる

翌日の寝台にひとつ年齢の落ちた脚が開いている

少しずつ白松葉独活のように伸長する

痛がり敷布の鮮血になる仮面好きの白粉たち、

つけまつげたち第一次採用の二重たち

さくらを唄って別れなさい肉体の定額制予約共有の教場の

番号のふられていない雨に満ちた尻軽の把手を捻る書斎は

壁じゅうに8Kの表示装置が貼り付けられ

白色のくちびるが血色を失った人形が

その名を叫びながら三十四糎の喜望峰に挿され絶命を訴える

 

首に樹木の鎖を巻き付けぶら下がっている

三十三年間行方知らずだった四歳児の皮が細長く滴る

エレクトしながら

なおも強く握りしめながら恫喝者として

微々としたそのふくらみに私は、孫をみつける