佐々木漣 ブログ 漣の残響

闇の中に詩を投げろ

挿入歌

私は歳だけをとり、

眠れない自分の中へ

少年を幽閉した

月明りだけで伸びる身長

何の満足にもならない、

マスターベーションのくり返し

白昼夢の中に入って、逝ったお前の死は

あまりにも響いた

 

走ることしかできなくなった鳥

心の傷というものは、

やすやすと、ふさがることはない

巨大な食虫植物として

ねっとりとした紅色の口を開け、

私自身を捕縛する準備をしている

私もまた、何かが起きるのを空想の中で待っている

 

偶然という弾を込めて

リボルバーをまわし、

こめかみを撃つ、

うつ病患者

叫びたかった

ただ叫びの中に入って泣き喚きたかった

空砲の真夜中にはインスピレーションという、

音符のゴーストが詰まっている

 

まだ寒い、未明の誰もいないスタジオで

お前の作った曲をテレキャスターで弾いた

見えないバンドが、勝手に私を少年に戻す

過ぎ去らなければ

その意味を汲み取ることのできない日々

さようなら、を歌え、と

新曲になっていくお前の遺作が、喚く、がなる

しぼりたての

不協和音が次々と降ってくる

やがて土砂降りとなり、そして去った

掌にはシンプルなCが残った

それだけが残った

 

お前のギターで弾き続ける誰かの挿入歌

誰もその意味を永久に理解しないだろう

使命を終えた時に、耳から飛び立ってしまうから