佐々木漣 ブログ 漣の残響

闇の中に詩を投げろ

あなたの耳に届きますように

これは自殺ではありません
ただの出来事
廃棄物を処理しただけ
それを燃やして、海にまいてください
私は地球の羊水に還っていくだけです
もう、余計な心配はいらないし
もう、余計な病名は必要ない
望まれて生まれ、望まれて死んでいく
矛盾が、
楽しげに踊りながら
底へ底へと沈んでいく
それが名を捨て去った私の、生来の姿です

つぼみが少しずつ開花する風の便り
それが私です
温暖な季節に釣れる魚
それが私です
爆ぜる栗に、年甲斐もなくはしゃぐ
それが私です
肌切れる冬の、鱈の鍋を
私の知っている人たちと食べてください
その夜は、愛し合ってください
ただ、ただ、たがいの身体を温めるために
その夜は、愛し合ってください
あらゆる比喩が
理由のない鳴き声を握りしめながら
また生まれてくるでしょう
涙をぬぐってくれる人によって

あぶくがうかんでいく
あぶくがゆらゆらうかんでいく
こどもなのか、おとななのか
ともだちなのか、こいびとなのか
だれもしらないあぶくが、うかんでいく
いつかきっと、わらいごえになって
とおいさざなみのおとが
あなたのみみにとどきますように