佐々木漣 ブログ 漣の残響

闇の中に詩を投げろ

それでも、人間が好きだと

世界の底辺が、

フィクションになり、崩壊していく音を

ただ聴いていた

震える耳で聴いていた

 

語彙をすべて質入れした氷河期時代の末裔は

音の出ない王冠を額にして

自分という幽閉先から一心に自分を鳴らしている

言霊が滅びていくことを知らせるため

 

淘汰されるべきものがあるという事実

これから起きうる不透明な百年は孤独ではない

大きくしすぎた社会の、できたての骸たちの山

白骨化したアラームがキチガイのごとく鳴いている

さあ、また後悔の時間だ

腐りかけた血や肉が踊っている終焉の祝祭

 

《最初の場所へ貴方は戻れ

 もう、救済のドームは焼け落ちた

 風よりも、コンマ一秒早く走る悪い噂

 遠くまで聞こえてしまう砂漠化する悲鳴

 誰もが他人のせいにして、

 営みを、簡単に無視できてしまう》

 

難聴の王様が、また何処かに落ちる

あらゆるバベルの塔に。

もう再び帰ることのできない

悪魔と伴に旅をした場所

実在はどのように造られた彫像の悲劇より残酷なのだ

せっせと焼身自殺者を生産している国

ほら、遠くから見るときれいだろ

放たれたまがい物の宗教の津波にもまれ

日々が逝く

 

それでも、

人間が好きだ、と産まれてきていいですか?

汚れたトイレにキスをすることから始める

鼻が潰れそうなアンビションの穢れが付着している

ぬめっとした舌触りが妙に美味しい、誰かが捨てた命

 

底辺から、世界が荒野へ変わっていくのを

王冠をはずした、ただの人として

聴いている

ひっそりと、ただ、ずっと