佐々木漣 ブログ 漣の残響

闇の中に詩を投げろ

性善説の裏側で

斬首された心の中心で
死に場所を探していない日はない
川の柳は流れない。炭化した瞳
それは、とても、明らかに、殺人者のものだ
自己の中で、低い鐘の音がする
人の血を舐めたことのある、たぎる血

帰省してきた「息子」相手にとっくみあい
この世の仇を見つけたとばかりに
何度も脇腹を刺す
茨の性欲のように刺す
死体が蘇えるほどに刺す
水道の蛇口から出る真っ赤な水の源流
世の中はそのように潤っている

「私は暴力を認めない日は一日としてない」

「鋭利」が性善説の裏側で次々と懐妊していく
産まれてきたくなかった、と
おぎゃあおぎゃあと泣いている
それは漆黒に輝くライフルの弾丸
母親の頭を撃ち抜く鬱の弾丸

大罪が凝固した地面を
這いつくばっているだけなのに
大雨がすべて水に流してくれると言うのに
我々はその警鐘を無視して
高度を上げ
速度を増すことだけにしか、興味がない
自分の森を焼き尽くし、それを虐殺に利用した
絶滅寸前の膂力が、何かを望んでいる視力を持つ
何処でなされているのか、その善は

斬首された心の中心から溢れ出るのは
自傷行為をしている世界そのもの
呼吸ができないほど
あまりにも濁っている
時代そのもの
貴方はそれを飲むのか?